あの夏の空に掌をかざして
「はい、あかりちゃんのアイス」


「わーい、ありがとー!」


 アイスにはしゃぎながら飛びつくあたしを見て、日向は微笑んだ。


 ーーーーあ、あたしの嫌いな笑顔だ。


 16歳になっても子供っぽいと言われるあたしに対して、小さい頃から周りより大人びていた日向は、時々小さい子に向けるような顔を、あたしに向ける。


 あたしは、その顔が大っきらいだった。

 
 日向に対等に見られてない気がして。


 日向に異性だって思われてない気がして。


 気づいたのは中学生のとき。それまで心地よかったはずの日向の笑顔が、何だか物足りなくなってた。もう、"兄弟"じゃなくて、一人の"異性"として見てもらいたいって思った。
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