あの夏の空に掌をかざして
『だけど、あかりが今苦しんでるのは分かるよ』


 だから、信じるよ。


 その言葉に、あたしは目を見開く。


 だって、楓は、そういった類いのものを信じる人ではない。それは、今まで一緒に過ごしてきて、あたしも分かっていることだった。


 幽霊やオカルトなどの話をしたら、楓は顔をしかめ、あきれたような声でそんなものはいるはずない、気のせいだと言う。


 そんな楓が、信じてくれた。


 誰かに話せるだけでよかった。それだけで、頑張れるような気がしたから。だけど、楓は、信じてくれた。


 あたしは、その事が嬉しくて嬉しくて、初めて誰かと共有できて、泣いてしまった。


「う~、がえでぇ~~!」


『ほらほら、泣かないよもう!でも、よく頑張ったね』


 あたしを泣き止ませようと、そんなことを言う楓だけど、声色がいつになく優しくて、あたしの涙腺は崩壊してしまった。


 ………あたしは、独りじゃないーーーー。


 ループし始めて、初めて、あたしはそう思えた。


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