*愛。*―あなたがくれたモノ―




―タン、タン、タン、タン‥



「お待たせ。」



「行くか‥。」



「うん。」


どこか切なそうな顔をしている達耶の顔を見て見ぬふりをして‥




精一杯の笑顔で私は答えた。




私達は喋らなかった‥。

お互い分かってたのかもしれない‥。







この恋の終わりを‥。





二人の終わりを‥。





「‥どこ行くか聞いていい?」




「‥海。」



「‥海?」



「俺、海大好きなんだ‥。」




とっさに海斗の顔が浮かんできた‥。



あの優しい顔が‥



幼く見える笑顔が‥



「愛してる」と言って後のあの愛しい顔が‥。



私のなかで沢山にうめ尽される‥。



それが涙となって溢れてきそうなのを



電車の窓から見える美しい地平線を見ながら堪えた‥。






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