*愛。*―あなたがくれたモノ―
「あのさ‥
「あのよ‥
「あ‥達耶から先言っていいよ。」
「‥んぢゃ、俺から言うな」
「うん‥」
「俺さ、知ってたよ。葵に忘れられない男が居るって。
葵さ、時々何かを思い出したように、
悲しいような‥
辛いような‥
切ないような顔してた。
だから分かってた。
けど、だからこそ負けたくなかった。
葵の中にそんなにも残ってる奴に‥
葵に悲しい思いをさせた奴に
辛い思い出を作った奴に‥、
だから俺、あんな束縛ばっかして‥
そしたら忘れられるかなと思って‥。
忘れてくれるかなって思って‥。
俺だけを想ってもらわないと‥
葵、ソイツの事思い出しちゃうと思って‥。
怖かった‥。俺、葵が居なくなったら‥
多分、何も出来なくなると思って。
それだけ好きだから‥。
葵が離れて行こうとするなら、
無理にでも引き止めようと、
つなぎ止めようと思ってた。