先生、僕を誘拐してください。


本当にもう一人の弟みたく常に一緒にご飯食べてる。
違うのは、大きくなった肩幅。生意気な突込み。あと、大味ながら新しい料理にチャレンジする前向きさ?


「さすが、会計くん。ご飯代が浮いたね」
「うっせ。ほら天ぷら盛り付けろ」
「うわ、偉そう」
私のからかいから逃げるようにお皿を押し付けてきた。
仕方ないので、レンコンの揚げ物を摘まみつつ四人分とタッパに天ぷらを盛り付ける。

お父さんの位牌の前には、一番に揚げあがった天ぷらが置かれているのも見逃さなかった。

「でも奏くん、一年生から会計だなんてすごいわねえ」
「まあね。俺のダチだし」
「なんでお前が得意げなんだよ」

二人の漫才みたいな会話に、お母さんがお腹を抱えて笑っている。

いるとうるさいなって感じてしまうけど、居てくれたらこんな風にちょっと助かるんだよね。
場が明るくなる。

「確か美空は生徒会に誘われそうだったのに断っちゃったのよね」
「そうだっけ? そこまで成績よくなかったしなあ」

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