先生、僕を誘拐してください。


「声変わりも終わって、可愛かった面影がまったくなくなったらちょっとは意識してしまわない?」

「ない」

朝倉くんと並んでいた姿は、どうみても奏のほうが格好良かったけど。


「……帰るよ。家で素麺でも食べてゴロゴロしてくる」

「あはは。敦美先生来るまでに起きとけよ」

「考えとく」

重たい体を引きずりながら、校門に向かう。
すると中庭に、トラックが二台。それと体操服に着替えた生徒会と有志の生徒が集まっていた。

中庭のステージを作るんだ。奏も軍手をつけてトラックから降りてくる鉄パイプを運んでいた。

野外ステージを造り、少し観客スペースを開けてから模擬店を並べ通路になる。

「奏くーん。椅子運んでって」

一年生の女の子二人が、奏のほうへ向かって走ってくる。
「なんで俺」
「先生が誰でもいいって」
「だったら奏しかいないもんね」
「ねー」

あきらかに奏の気を引こうとしてるようなかわいい女の子たちだ。
なのに、クールぶった奏が表情を変えないのが面白い。
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