先生、僕を誘拐してください。


「未来ちゃんに頼めば?」
にやっと笑うと、村田くんがあちゃ、と小さく言葉を漏らした。

「ばれてるんすか。未来から聞いちゃった?」
「ううん。周知の事実みたいよ」
「えー、もう未来さ、めっちゃやきもち妬くからマネージャー、募集できないんす。その点、蒼のおねーさんなら」

「なに話してんの?」

村田くんの言葉を遮り、片手に椅子を二つずつもった奏が、私と村田くんの間に割って入ってきた。
後ろには、椅子を一つずつ持ってこっちの様子を伺っている女の子が二人。

「村田くんの好きな人について」
「……ふうん」

「今年の模擬店は、チョコバナナあるんでしょうね?」

話を逸らすと、じっとこっちを見られた。
「原則、火が通ったものが好ましい。だからなあ」
「かき氷は火が通ってないけど毎年ある!」
「俺に言うなよ。先生に頼めって」

「でもさあ、敦美んとかがチョコバナナ売ってたらウケない?」
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