先生、僕を誘拐してください。
部活から帰ってきた奏になんて言おうか?
『夏休み、カナリアを見れなくなるかもしれない』
私がそう言ったら、奏は一瞬悲しい顔をするかもしれない。
『だって受験生は、夏休みがないんだもの』
にやりと私が笑うと、奏は言葉の意味を気づき顔を破綻させてもう一度抱きしめてくれたら嬉しい。
もう一度抱きしめて、奏。
ただし受験に合格するまでは、……恋人にはならないと自分を戒めようと思う。