先生、僕を誘拐してください。
誰に聞けばいいのかわからないので、音楽室から外を眺める。
中庭のステージは完成しているので、音調やマイク位置、そして出し物をする一年生が出し物の踊りを練習したり、毎日忙しい。
そこに順番まちの一年生のクラスに、走ってくる人物が見えた。
蒼と奏だ。
バスケ部も部活紹介を兼ねてバンドをするらしく、体育館でバンドの練習をしていたらしい。
歌は村田くんと奏が歌うらしく、私も真由と見に行こうって話していた。
奏のクラスはソーラン節を踊るようで、2、3回練習してから奏が抜けた。
目で追うと、その先には朝倉くんがいた。
朝倉くんが大学受験をしないって噂は瞬く間に流れたらしく、進学クラスで一人浮いていると真由がわざわざ教えてくれた。
けれど私は別に朝倉くんの幸せを阻みたいわけではない。
関わらなければ、何をしたって関係ないんだ。
「武田先輩、来週バスケ部試合するんだって!」