先生、僕を誘拐してください。
「さあ。最後までいかなかったから」
「そうなの? まあ就職するならそこまで必死でしないのか」
弟に話しかけないで、とか、
奏にも近寄らないで、とか、
私や私のバイト先に来ないでとか、
言いたいことは山ほどあるんだけど、出来たら避けて会話さえしない方が楽だ。
「じゃあね。行こう、未来ちゃん」
そそくさと逃げ出そうとしたら、朝倉くんが『待って』と呼びとめる。
「今、村田君にも言ってたんだけど、やっぱり奏くんは正式に二学期から生徒会の会計お願いすると思うよ」
「え」
「バスケ部のスケジュールとかを今確認してたんだ。もし合唱部にも出るなら、スケジュール調整しとかないと、忙しくなりすぎたら可哀想だからね」
「……そうだね」
朝倉くんは心配してくれていて、その気持ちは嘘がないだろうけど。
でもね。奏は何故か君を憎んでいるんだから皮肉だよね。
「まあ、奏に聞いてみるよ」