先生、僕を誘拐してください。
ボーイッシュな真由は、下手したら蒼人とかよりも男らしくて格好良いかもしれない。
「真由先輩、日に焼けたら益々格好良いでしょうね」
「ああ、でも本人は去年皮が剥けた時痛かったらしくて、今年は日焼け止め塗ってるみたいよ」
「へえ。残念です」
しょんぼりしたと同時に、携帯も電源を入れる。
数秒して未来ちゃんからのメールが画面に出てきたが、それを擦りぬけ、奏に音楽室に来るようにメールしておいた。
「お、蒼人の姉さん、ちーっす!」
今日は、テスト後で皆ハイテンションなのか、廊下で色んな奴にあってしまう。
ブンブンと手を振っているお調子者の村田くんはどうでもいいんだけど、隣の朝倉一くんだけは見たくなかった。
「村田じゃん。一年の奏くん、ちょっと合唱部が借りてくからね」
「奏ならまだ部室で着替えてないで蒼人とゲームしてると思うけど……えー、奏居ないとパス回しできないじゃん」
村田くんは未来ちゃんと同じ理系クラスなようで、テストの問題について話しだしてしまった。
「数学の最後の証明、難しかったね」
そして私も、何もなかったように朝倉くんに話しかけられてしまう。