『誰にも言うなよ?』
*
「……と、いうことなの」
怪しげなカフェがあるという噂。
ビルの前で見たもの。
愛美が、
エリカの命令でそこに向かったらしいこと。
狼谷先生が、
10年前突如消えた関東一の族
“ブラックパンサー”の総長だということ。
レオとわたしの元に狼谷がやってきて、追い返されたこと。
それらを、雅人に順を追って説明した。
「……マジかよ」
「どうしよう、雅人。明日先生こなかったら」
「…………」
雅人は『きっと大丈夫』なんて言ってはくれない。わたしと同じ不安を抱いるのだろう。
「あの男、なにかあるとは思ってたけど。とんでもない教師だな」
「……そうだね」
「アイツの仕事は国語を教えることじゃなくて、そっちってことか」
雅人がレオと同じようなことを言った。
「さすが青山くん」
「レオは俺たちが知らないことをまだ隠してるんじゃないか?」
「それも正解」
(……レオ?)
「ボク、調べたんだ。北高がどんな学校かってことを」
「偏差値や校訓を調べたってわけじゃなさそうだな?」
「もちろん。そんなのどうでもいいさ。北高はガラの悪い不良校と有名らしいけど、意外にお嬢様や御曹司が多いんだよねぇ」
言われてみれば、エリカってお嬢様っぽいよね。雅人も裕福だし……。