『誰にも言うなよ?』
レオは、あのとき
わたしを傷つけて楽しんでたの――?
「……最低」
意味が……わからないよ。
なんでそんなことするの。
「ははは」
レオが、乾いたように笑った。
あまりの冷たい視線にゾクッとさせられる。
まるで、出会ったばかりの頃のレオに戻ってしまったみたいだ。
「被害者ぶらないでよ」
(レオ……?)
「ヘンなの。キミの基準ってボクなの?」
――怖い。
「ふぅん。それじゃあ、ボクの言うことが“絶対”なんだ? よーくわかった」
レオが。
怖い。
「だったら今すぐボクのものになれよ」
「レオ、」
ぐっと近づいてくる。
逃げ場なんて、ない。
「それが――」
「っ、」
次の瞬間
わたし達の距離は、ゼロになった――。
「“モトコの幸せだから”」
耳元から聞こえてきたのは
「……って、ボクが言えば。キミは、その言葉を疑わないの?」
(……!)
とても優しい囁き声だった。