『誰にも言うなよ?』
向き合ってみろと言われても……。
「わたしがどうでもいいからなにも言わずに去ったんだとか。わたしがそういう対象じゃないから、平気で雅人のことを応援していたんだとか。そんな風にしかやっぱり考えられない……」
「そうじゃないでしょ」
わたしから身を離すと、呆れて笑う。
「モトコは、カミヤのなにを見てきたの?」
――え……?
「離れたから、もう大切じゃない? 応援したから好意は持たれていない?」
「……そうなんじゃないの?」
「バカ」
「えっ……!?」
「本当に、特別扱いされなかった?」
「それ……は、」
「されたよね? いっぱい」
他の生徒よりも気にはかけてもらえた。
だけど。
「仕事の延長線上で、かまわれただけだった」
偶然、
わたしが先生の秘密を握ってしまったり。
偶然、
わたしがイジメられてることを知られてしまったり。
偶然が、度重なって
他の生徒より多くの時間を先生と過ごし
関わってしまっただけ。
「仕事じゃ説明つかないことされたでしょ」
「……え?」
「『朝イチで俺のとこに来い』って言われたんでしょ。あんなのどう考えても私用じゃん」
「……!」
「朝、呼び出されて。なんて言われたの?」
「……っ」
「ねえ。どんな話をしたの?」