『誰にも言うなよ?』
「先生は」
「うん」
先生は……
「『守る』って、言ってくれた」
あのときわたしは
心から、ホッとすることができた。
「はは。最低」
レオが、苦しそうに笑った。
「もうそれ大好きなやつじゃん。わざわざ呼ばれてそんなことまで言われてさ。それで落ち込むなんて本当にバカだね?」
「でも……!」
「なに」
「いなくなった。アイツは、消えた!」
だから、
先生がわたしにしてくれたこと
先生がわたしにかけてくれた言葉
ひとつひとつを
今更都合よく、解釈できそうにない。
「先生の『守る』なんて所詮その程度の覚悟だったんだよ。どうせ、その場限りの……」
「逃げないでよ」
――!
「……そんなつもりは、」
「せっかく向けられた好意まで全否定しちゃうなんて、救えないね」
「だってわたしは……」
「なに?」
「レオみたいになんでも手に入れてきたわけじゃないから。自信なんか……もてないよ」