『誰にも言うなよ?』
「アキは、世話焼きでな。頼んでもないのにここを片付けてたよ。あと料理が得意で弁当持ってきてくれたり」
「……そうですか」
優那は、“好きな人のことならどんなことも知りたい”と言っていた。
だけどわたしは、わたしの知らない先生を知るのが、結構複雑……かもしれない。
「ちょっとした事情で今は会えてないが。そのうち、またフラっとやって来るんじゃねーかな」
「え……!?」
「なんだよ。来ちゃマズイか?」
いや。別に。
先生が、誰とどんな交際をしていようが。
わたしに口を挟む権利なんてないけれども。
「そのときは、紹介してやるよ」
「……ハイ」
元カノを紹介されても困りますが。
いや、待てよ。
別れたなんて言ってないよね。
ちょっとした事情ってなに?
……今も、恋人なの?
「女子力高いからなぁ。色々と教えてもらえばいい」
「どうせ、わたしは女子力ないですよ」
「……拗ねてんのか?」
「別に拗ねてません」