溺愛CEOといきなり新婚生活!?

 金曜は仕事のモチベーションが一番上がる。
 終業後に予定がある人が羨ましいと思うようになったのは、永井さんを好きになってからだ。


「今日はデート?」
「うん。料理教室で知り合った人とね」

 私はというと、今日も仕事が終わったら永井さんと暮らす超高級タワーマンションに直帰するだけ。
 ランチで買ったグラタンを食べながら、いいなぁと同僚を羨んだ。


「花澄も誰かと約束したらいいじゃん。っていうか、この前永井社長の連絡先交換したらよかったんだって!」
「……そうだけど」

 事実を言えないから、それ以上は掘り下げられないように口ごもった。


「あ、あのね。友達に相談受けてて、どう答えようかなぁって思ってることがあるんだけど」
「うん、なに?」
「好きな人が他の人とデートするって知っちゃったみたいで、引き止めたいんだって」
「妬いちゃってるんだね、その子」

 そうみたい、とだけ言ってグラタンを咀嚼する。
 本当は自分のことだけど、相手はどんな人なのか口を割らなくちゃいけなくなるだろう。


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