溺愛CEOといきなり新婚生活!?

「上遠野花澄さん」
「……はい」

 凛とした声と、嬉しさに揺れるような微笑みで彼が見上げていて。


「悲しい涙やつらいことから、全力で守ります。あなただけを、生涯かけて大切にします」

 耐えられなくなった涙が頬を伝い零れ、彼の姿を滲ませていく。
 聖堂の後方に設けられたパイプオルガンが濁りのない音色を奏で、厳かなその音に導かれるように彼が輝くリングを手にしている。



「永遠の愛を誓います。……結婚してください」

 左手の薬指に立て爪のダイヤモンドリングが通され、立ち上がった彼にきつく抱きしめられて、とうとう大粒の涙が零れ落ちた。


 そっと身体を離して見つめあう。
 感動のあまり返事が言葉にならなくて何度も頷いていると、彼が指先で涙を拭いながら微笑んでいる。


「幸せにするからね」
「はい」

 嬉し涙と満面の笑顔でようやく返事をすると、彼は世界一温かなキスで永遠の愛を誓ってくれた。


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