一夜の。


有馬ちゃんは

髪をかきあげ 俺の唇をついばむように
優しく口づける。


そんな有馬ちゃんの頬は

やっぱり濡れていて。


こんなに悲しませたのは俺のせいと分かっているけど それでも泣いている有馬ちゃんでさえも


綺麗だと思った。



もっと泣けばいい。


こんな状況でそう思ってしまった俺は


救いようのないクズ野郎だ。





< 17 / 161 >

この作品をシェア

pagetop