カノジョの彼の、冷めたキス
「高垣さん、すみません。今月の営業会議の資料を作ってるんですけど、渡瀬くんの今月の売上報告をまだもらってなくて。わかれば教えてもらえませんか?」
「わかりました。ちょっと待ってくださいね」
あたしがそばに行って訊ねると、高垣さんがパソコンで調べてくれた。
「えーっと、これです」
「ありがとうございます。渡瀬くん、急な打ち合わせでも入ったんですか?」
高垣さんに教えてもらった内容を確認しながら、忙しなく出て行った渡瀬くんのことをさり気なく聞いてみる。
「そうなんです。秘書課の皆藤さんから内線があって、副社長が渡瀬くんに頼みたい仕事があるから来て欲しいって」
「副社長が?」
副社長から仕事を頼まれたということにも、皆藤さんから渡瀬くんに直接連絡があったことにも驚いた。
「渡瀬くんが前に一緒に仕事をした取引先のひとつに興味を持たれてるみたいで。そのときの資料を掻き集めて今持っていってるんです」