秘密の恋 〜社長に恋して〜
瑞穂は、会社から電車で25分、徒歩5分の築15年のマンションに住んでいる。
広めの1ルームだ。
キッチンは別になっているので、間取りよりは広く感じる。

部屋の中の中心を占めているベッドにボスっと飛び込むと、酔いの回った体を沈めた。
観葉植物の緑が目に入った。

(- あ、水…あげないと…。)

そんな事をぼんやりと考えていた。
時間は23時半。

(- 今日の人は当たりだったのかな…。)

ついでにそんな事も考えてしまい、あわてて思考をシャットアウトした。
瑞穂は枕に顔をぎゅっと埋めた。
胃がぎゅっと締め付け、アルコールに侵食されていくようだった。

(- シンデレラだって魔法は12時に終わる。あたしの魔法も終わった…。王子さまは探してはくれない…。)

瑞穂の頭の中で、かぼちゃが馬車に代わり、ネズミが馬に代わる。
そんなどうでもいい事を想像している間に、瑞穂は意識を手放した。

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