秘密の恋 〜社長に恋して〜
「満月…。」
空を見上げて呟いた瑞穂をそっと抱きしめると、優しくベッドに組み敷いた。

何度か、優しく触れるだけのキスをした由幸はふっと思い出したように言った。

「あっ、でもお前自分で正体ばらしてたよ。」

「え?」

「こないだの最中、俺名乗ってもないのに、名前呼んでって言ったら、由幸…って。」
そう言うと、クスクス笑いながらキスを落とした。

「え…。あたしったら…。…っん!」
少し激しくなったキスに、瑞穂の甘い声が漏れた。

「やっぱり可愛い。その声。その声聞いたら、もう止まらなかった。」
そう言うと、由幸は首に舌を這わせた。
そして優しく素肌に触れた。

「…あっ!ねえ、あたしだってわかって…たから、初めてだって知って…たから、あんなに優しかったんですか?」
荒くなる呼吸を抑えながら聞いた瑞穂に、

「当たり前だろ。」
驚いたよう動きを止め、由幸は瑞穂を見た。

「よかった…。いつもあんな優しく抱くんだって思ってショック受け…ました…。」
正直に言った瑞穂に呆れたように由幸は言う。
「お前って…。でも今日はあまり余裕ない。気持ちが通って抱くのは・・・やっぱり違うから…。」

「いいです。好きにしてください…。」
頬を赤らめて行った瑞穂を、由幸は目をまん丸くして見下ろした。

「おい…。あまり煽るなよ…。」
ニヤッと由幸は笑うと、

「ずっと、好きだよ…瑞穂。」

そのまま、2人はシーツの海に溺れた。

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