【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1
「この曲は、相馬さま達に弾いて貰う予定だったのよ」
「スケコマシ…じゃなかった。相馬に?」
「ええ。相馬さまと夏翠さまが……」
特に突っ込むきもないのかと思えば、スケコマシの言葉に怒ったお嬢様たち。
「へー、夏翠もこんなの聞いてたんだ。庶民の音楽だろうに」
大ヒットした映画と言っても、金持ちにとっては、映画自体がつまらぬ遊戯と聞いた。
なら、この女達が見ているはずもないか……。
「じゃあ…」
夏翠にヴァイオリンを頼もうかなと思ったが、それはそれで、このお嬢様達が黙っていないだろう。
(ほんと、めんどくさい……)
あの時、スケコマシの近くにいなければ、こんなめんどくさいことには絶対にならなかった。
ため息をつきながら、そんなことを考える。
すると、視界の端に映ったスケコマシ……の横には、幼馴染みの柚香ちゃんが。
(あ、そういや、柚香がいたな……)
こういうのを天の助けとでも言うのだろうか?
手招きして、事情を説明すれば了承してくれた柚香。
「良いわよ。ヴァイオリンは、誉められていたからね。沙耶の師匠に」
ニッコリと笑う柚香。
こうして並べば、共に授業を受けた日が懐かしい。
椅子に腰を下ろして、楽譜を柚香に渡す。
「沙耶は要らないのー?」
「要らないよ。だって、絶対的に難しくて、見る時間ないだろうし?サポートよろしく。柚香」
「OK。可愛い幼馴染みのためなら、なんでも」
頼りになる笑顔を見て、沙耶は深呼吸した。
指は、一つの音を奏でる。