【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1
「お前ら……」
ぶちギレそうになり、拳を握った。
「しゃーねぇだろ!あんな反応する女だって初めてだよ!大体、あのくそ女が……」
くそ女。
全ては、俺の母親を指す。
言いかけて、口をつぐんだ俺に、彼らは黙りこんだ。
「あのくそ女が……の、続きは?」
そんなとき、放っておいてくれないのが、真琴で。
「……何でもねぇ」
嫌な記憶が呼び醒まされそうで、俺は真琴から視線を逸らした。
「ねぇ、相馬?確かにさ、和子さんは最低な母親だったよ。でも、最期まで、頑張っていたじゃない。耐えて、耐えて、耐えて。女には、あの家は辛い場所よ。京子も同じだけど……家に女の子が一人しかいない。初代と力を持っているものが、和子さんの時だって、和子さんしかいなかった」
初代が持っていたとされる、治癒力。
主に、女性の力で日本舞踏の家として、繁栄してきた御園家は、時代ともに数々の面で活躍するようになったものの、地盤はその力である。
その力は、直系の女にしか受け継がれず、母さんは二人兄弟で、しかも、いたのは弟だったから……御園家の地盤は、全て、彼女が背負っていた。
結婚とか、その相手とか。
色々責められる環境の中で、母さんは愛する人を見つけた。
自身に流れる、先祖から受け継がれた狂気的な愛をも受け止めてくれる相手を。
それが、相馬たちの父親だ。