【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1


「今日は、帰ってくるのか?」


「うん。幼馴染みの家に泊まるかもだけど。……つか、マジ甘い……」


炭酸が苦手である私にとって、今の状況は苦痛である。


その前に、炭酸まみれということが人生上、初めての経験である。


「わりぃな。あいつらとつるむ危険性を忘れてた」


(いや、あんたも対象内!)


突っ込もうと思ったが、やめておく。


彼は、嫌いになった人間はとことんダメな人らしいから。


……何をしでかすか、分からない。


「いや、別にいいんだけど。私、どうやら、嫌われるタイプらしいし。つか、あんたの女遊びが大元の原因のような気がするんだけど。私の気のせい?」


「……」


「気のせいじゃないよねぇ?……ってことで、この事を水に流してやる代わりに風呂貸して」


「…………は?」


黙りこんだ相馬につけ込んで、この身体を洗い流す場所を確保しようとしたら、相馬はヒックイ声を出した。


「風呂。入りたいけど、入れないんだもん。鍵ないし、兄貴は仕事だし。両親は……何処にいるんだろうねぇ?って感じだし。……良いでしょ?炭酸あびて、授業は辛いんだよ」



「……」



「……ね?」



有無がなかった。


本当に全く。


「車に乗れ」


彼は一言、そう告げて。


屋上を出ていく。


「いや、どこのよ?」


彼には会話力というものは存在しないのかと思いつつ、蒼生に断りを入れて、私は彼のあとをついていった。


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