【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1


「ぶっちゃけて、兄貴ってさ、妖怪みたいなんだよね」


「妖怪?」


「そう」


沙耶の言う兄貴は、二人。


「春ちゃんは、まともなんだけど……多分、まともと信じたいんだけど……多分、多分……」


「多分って……」


大樹兄ちゃんと勇真兄ちゃん。


「いや、さ、この間から、両親はどっか行ったままで……連絡が正しければ、今、アメリカなんだけど……この間は、ロシアにいるとか言っといて、フランスにいたからね。信用ならない」


大雑把な性格である父は、手紙とかを書く性格ではなく、携帯もあまり触らない。


父にすべてを任せている母は、携帯では電話するのが精一杯である。


……何も知らなかった、行く宛もなく、死ぬ運命だった母を救ったのは誉められることだが、何も教えないのはどうかと思う。


それについて、意見をすれば。


『ユイラとはずっと一緒におるんよ?なんで、そんなどうでもええことを教えなあかんの?』


と、返ってきたので、もう、それからは父親の異常な愛情と言う言葉で片付けることにしている。


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