【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1
「お前、放置されてるのか?」
「んー、どうだろ。兄貴たちとお留守番だから、そうでもないかも。私も、柚香ん家に泊まることが多いし……家の近くに春ちゃんが住んでるおかげで、困ることはないから」
その春ちゃんの家に入り浸っているのが、兄の一人の大樹だが。
「勇兄ちゃんは……神出鬼没?変人?自分勝手?」
「……ひどい言いようで」
相馬はそう言うけど、あれを変人と言わずになんと言う?
「いや、マジで変人。シスコンは、兄貴たちの共通点だけど……女遊びはあんた以上だし、どこで寝泊まりしてるのってくらい、帰ってこないもの」
女の家を渡り歩いているのかと聞けば、全力で否定された。
なら、どこで寝ると言うのか。
「……ま、ともかく、適当、雑、どうでも良い、面倒くさいが口癖の一家だから、あんまり気負わなくて良いよ。夏翠はダメなんでしょ?なら、柚香には言っておかないとね」
なんで、今回の話に夏翠はダメなのかは分からなかった。
だって、夏翠は彼らの幼馴染みで、誰よりも近い女の子であるはずだからだ。
そこには、なにか事情があるんだろうけど……
「お前たちには、知っておいてほしいことがあるんだよ。非現実的な物語」
「非現実的?何言ってんの?」
「……それは、放課後な」
哀愁漂う相馬の雰囲気からして、ただ事ではないのだけ、わかった。
「柚香ー!」