華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
やっぱりセイディーレを笑顔にさせることなんて、私には無理なのだろうか。

頭を悩ませながら、次にやってきたのは大広間。扉が開かれた途端、その美しさに思わずため息がこぼれた。

大理石の床はピカピカと輝き、数十本のロウソクが立った大きなシャンデリアが吊されている。

こちらもゴールドを主体としていて、目がチカチカするくらいきらびやかで豪華だ。


「素敵な広間……! ここで舞踏会を行うのかしら」

「あぁ。盛期には上流階級の人間が頻繁に集まっている。ハーメイデンでも似たようなものだろう」

「えぇ、でもこんなに広くはないもの」


ぐるっと辺りを見回しながら話し、広間の奥へとゆっくり進む。今日は着飾っているし、このまま舞踏会が始まっても参加できそうだな、なんて思ってしまう。


「皆ここでお見合いをするのね。私も出てみたかったわ」


白馬に乗る王族の絵画を見つめながら、独り言のように呟いた。

舞踏会は、独身の男女がダンスをしながら結婚相手を見つける場でもある。

私にはその必要がないし、なにより皆の前に姿を現すことができなかったから、今までこっそり見ているだけだったのだ。

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