ストレイキャットの微笑



 そして肝心のエビチリが運ばれてきた。伊藤さんが口に運んだのを見てから、私もそっとエビを口許へ寄せた。


「あ、ほんとだ。美味しいね」

「良かった」


 彼から発せられた言葉にほっとする。伊藤さんは食に関しての世辞を嫌う人だから、私が同伴のお店を決める時はいつもドキドキが止まらない。


「お気に入りのお店なので、伊藤さんと来られて嬉しいです」


 恋する乙女さながらに微笑んでみせると、伊藤さんは照れたように笑った。この人は基本的に穏やかな人だし、扱いやすくて楽だ。私のキャバ嬢という立場も弁えてくれているから、面倒な駆け引きが必要ない良客。


 私が何も言わなくても、食事のあとはお店に来てくれるから、そこまで気を張る必要もないし。たまにいるからね。同伴の後にホテルに連れ込もうとするクズが。



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