初めてのズル休み



「ちゃんと言わないと分からない。そういうの、一番面倒だ。言いたいことは、察してもらうなんて思わずにはっきり言え」

「面倒……?」


その言葉が、ぐさりと胸の奥深くまで突き刺さる。


面倒って。


「面倒って、私といることが面倒? だから、先のこと、言ってくれないんだね!」


あ……。


勢いのあまり、口走ってしまった。

口元を押さえてみたところで後の祭りだ。

放った言葉をなかったものには出来ない。


「……先のことって、結婚、とか、そういうことか?」


怖くて暁さんの表情を確かめることは出来ない。
何かを言われるのが怖くて、逃げるように暁さんからすり抜ける。


「不安だから結婚するのか? 自分を守るためにするものなのか……?」


玄関で靴を履く私の背中に、矢のように突き刺さった。


何も聞きたくなかったのに。
もう手遅れだ。刺さってしまった。


「そんな言い方……。もう、いい!」


乱暴に引き戸に手を掛ける。


「待てよっ」


待ってなんかいられるわけなかった。
それ以上、暁さんの口から辛辣な言葉を聞く心の強さはもう残っていなかった。


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