その恋、記憶にございませんっ!
 それにしても怖いな、と思っていた。

 蘇芳さんの中の愛情が今、MAXに近くて怖い……。

 私、そこまで可愛くありませんから。

 歩いただけで、見知らぬ男の人が、ハーメルンの笛吹きみたいに、ゾロゾロ付いてくるわけもありませんし。

 今、この人の中の私、どんな感じなんだろう、と思いながら、部屋に入り、蘇芳がひとりでしゃべっているのを聞いていた。

 神様、こんな時間はいつまで続くのでしょうか。

 箸が転がっても可愛いみたいな……

 あ、違った。

 なにをしても可愛いみたいな時間は一体、いつまで――。

 そもそも蘇芳さんは私のどこがいいのでしょうか。

 不安になるな、と思い、その顔を窺っていると、蘇芳はいきなり赤くなり、
「じっと見るな、唯。
 緊張するから」
と言い出した。

 いや……あれだけしゃべっておいてですか。

「蘇芳さん」
と唯は正座し、呼びかけた。

 なんだ? と蘇芳もかしこまる。

「蘇芳さんは、私のどんなところが好きなんですか?」

 そう訊いてみた。
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