365日、いつまでもふたりで
「このホテルなんだ」



そう竜くんが停めたのは有名な超高級ホテルの駐車場。



「え!?こんなところ!?」


「え?不満だった?」



あたしの言葉に不安そうな顔を見せる。



「あ!違う違う!すごく高級なところでびっくりしてるの」


「なんだそんなこと。気にしない出よ。友達の親がここのグループの会長だから結構融通きくんだ」


「そうなんだ!すごい友達がいるね!」


「そんなすごくもねぇけどな」



こんないいホテルに泊まったこともないあたしはテンションが上がってしまっているけど、竜くんは至って普通。

友達のよしみで何度も泊まっているのかもしれない。



「あ、竜」



入口から入ると、向かいからが上品そうな身なりをしている女性が歩いてくる。



「いたのかよ……」



知り合いだろうか、その人を見た竜くんは一瞬にして不機嫌そうな顔になる。



「自分の会社にいてなにか悪い?」


「別に」



不機嫌な様子そのままに、あたしの手を取ってその人の横を通り過ぎる。

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