365日、いつまでもふたりで
「しちゃおうか、結婚」


「なにそれ、あの日の自分の真似してるの?」


「はは、ばれた?」



──しちゃおうか、キス



同じ言葉で言う竜くんに自然と笑みがこぼれる。



「あたしたちにとって重要な言葉だもんね」


「普通に聞いたらただの軽い言葉だけどな」



あの日から始まったあたしたちのトクベツ。
そして、そのトクベツが始まった日と同じ日にプロポーズをしてくれた竜くん。

今日5月23日は、今年もまたあたしたちにトクベツをもたらせた。



「結婚記念日よりも今日がトクベツだね」



あたしがそう言うと、フッと優しい笑みであたしを見る。




「そうだな。毎年、今日にお祝いしような」


「何年経っても、子供が生まれてパパとママになっても。おじいちゃんとおばあちゃんになっても」


「茜とならずっと一緒にいれるって信じられる」



〝信じられる〟
過去の出来事が原因で他人を信じることができなかった竜くん。

< 148 / 150 >

この作品をシェア

pagetop