365日、いつまでもふたりで
「やめろよ、恥ずかしい」


「もっとたくさん見せてよ。みんなの知らない竜くんたくさんみたいよ」



ぎゅっと竜くんの手を握る。



「茜……」



竜くんの瞳が近づいてきて、あたしと竜くんの距離がなくなる。



「……んっ」



竜くんの唇があたしに降ってきて、舌をねじ込んでくる。



「……めっちゃ好きだよ、茜」



この言葉を挟んで、たくさんキスが降ってきて。
竜くんのキスの海に溺れた、タワーの前。



「ふっ、茜顔真っ赤」


「も、もうっ!」



自分でも赤くなってるだろうことはわかっているくらいだったから、傍から見たら相当赤かったであろう。



「そういう風に赤くなる茜、すごい好きだよ。このタワーのジンクス信じていいかな?」



その言葉はあたしの心臓を騒がすには充分で。



「……もちろん」



射抜かれそうな竜くんの目に、ただそう頷くだけでいっぱいだった。



「ま、本当に言うのはまだ先だから」



竜くんの言葉にまた騒ぎ出す心臓。


〝本当〟とはプロポーズのことで。
いつかは言われるかもしれない、その言葉に期待しながらもう一度瞳を閉じた。

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