愛され任務発令中！～強引副社長と溺甘オフィス～

周囲に聞こえないよう声を潜めて伝えると、彼からは耳を疑うようなセリフ発せられた。

「安心しろ。全然場違いなんかじゃない。……今日のお前は綺麗だから」

「――え」

思わず足が止まってしまった。

さっ、さっきのはなに？　私の耳には『今日のお前は綺麗だから』って聞こえてきたんですけど!?

空耳？　だって信じられる？　あの副社長が『お前は綺麗だから』なんて言うなんて……！

信じられないくせに、さっきから何度も何度も頭の中でリプレイされてしまっている副社長のセリフ。

するとついてこない私に気づいた副社長も足を止め、振り返り呆れ顔で私を見た。


「おい、なにやっている。遅れるわけにはいかないんだ、早く来い」

「はっ……はい！」

厳しい口調で言われ咄嗟に返事をし、急ぎ足で彼の元へと駆け寄ると、副社長はまた足を進めた。

私はついていくけれど……つい何度も歩く彼の横顔を見てしまった。