愛され任務発令中!~強引副社長と溺甘オフィス~
どうしてもあの場にいたくなくて逃げてきてしまったけれど、私はまだ勤務中の身。

それに副社長と一緒に来たのに、私がこうして逃げちゃったから、帰るに帰れなくて困っているかもしれない。

ううん、もしかしたら仕事中なのに姿を消した私に呆れて、さっさとひとりで会社に戻ってしまったかもしれない。

それはそれであり得そうで、思わず「ふふっ」と笑みを零してしまった。


「やだな……こんな時でも笑えちゃうなんて」

麻生さんに会うまでは、少しずつでも前に進めている気がしていた。……けれど全然だった。

彼と再会して瞬時に昔の苦い思い出が脳裏をかすめて……息苦しさを覚えた。

私、これからもずっと忘れられないのかな? この先も思い出してこうやって胸を痛めながら過ごしていくの?

こんな私に、新しい恋愛なんてできるの……?


いつの間にか足は止まってしまった。けれど突然止まったものだから通行人にぶつかってしまい、慌てて「すみません」と頭を下げた時だった。
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