愛され任務発令中!~強引副社長と溺甘オフィス~
頭の中で何度もリピートされる彼のセリフ。そのたびに胸が苦しくなって、次第に身体中が熱くなる。

だめだ、いったん忘れよう!! 必死に頭の中から副社長の甘いセリフをかき消し、珈琲の準備を始めると、突然背後から声が聞こえてきた。

「小山」

「わっ!?」

耳元で囁かれた私を呼ぶ声に心臓は跳ね上がり、手にしていた珈琲フィルターを床に落としてしまった。

けれどすぐに拾いあげることができない。だってすぐ後ろに副社長がいるから。

今の私の顔は真っ赤なはず。振り返ることもできず、微動だにせずいると、彼は至近距離のまま尋ねてきた。

「……さっき、あいつが初めての彼氏だったって言っていたけど、キスも?」

「……えっ!?」

ギョッとし思わず振り返ってしまうと、目と鼻の先に副社長がいて息を呑む。


副社長ってばいったいどうしちゃったの? どうして急にそんなことを聞いてくるの?

副社長の真意がわからなくて、ただジッと見つめ返すことしかできずにいると、彼は痺れを切らしたように言った。

「どうなんだ、答えろ」
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