愛され任務発令中!~強引副社長と溺甘オフィス~
「とりあえず冷やして、あと薬も飲まないと。……あ、その前になにか食べないとだめじゃない」

こういう時、ひとり暮らしって寂しくて辛いと思い知らされる。
実家は近いけど、無理いってひとり暮らしさせてもらっているんだもの、自分ひとりでやるしかない。


なるべく早く熱を下げて会社に行かないと。……いつまでも逃げてばかりいられないもの。

私は副社長の秘書なんだ。会社に行けば嫌でも彼と顔を合わせ、話す機会も多くなる。

失恋はしちゃったけど、だからこそせめて秘書の仕事は続けたい。恋も仕事も失うことなんてしたくないから。


重い身体を引きずりながら冷凍しておいたご飯でお粥を作り、食べて薬を飲んで。そして額と目元を冷やしながらベッドに潜り込んだ。


このまま寝たら副社長のこと、好きじゃなくなればいいのにな。そうしたら意気揚々と出勤して、いつものように張り切って仕事をして。秘書として頑張っていけるのに。


瞼を閉じると、一筋の涙が零れ落ちる。
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