愛され任務発令中!~強引副社長と溺甘オフィス~
最悪だ。熱を出すなんて。

でも熱も出て当然かもしれない。ずっと泣いて過ごしっぱなしで、ロクに食事も取っていなかった。熱が出てしまったのは自業自得。


こんなこと言ったら社会人失格だとわかっているけど、でも正直熱が出てよかったのかもしれない。

今日にはきっと副社長はしっかり体調を整えて出勤してくるに違いない。

こんな酷い顔で会えないよ。どんなにメイクでカバーしたってしきれないもの。


それにまだ私には時間が必要。副社長に彼女がいるって事実を受け入れる時間が。彼のことを諦めるための準備をする時間が――。


あれほどたくさん泣いたというのに、また思い出すと泣けてくるから困る。

「とにかく会社に電話をしないと……」

けだるい身体に鞭打って起き上がり、寝室に置いてあるスマホを取りにいく。

まずは会社に電話を入れ、休むことを伝えた。それだけでどっと疲れてしまった。
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