愛され任務発令中!~強引副社長と溺甘オフィス~
なんですか、それは。普段なにを思っているのかわからない顔をして、仕事にも厳しい人が『ありがとう』だなんて。

相変わらず感情の読めない表情で放たれた言葉。けれどなぜだろう。副社長の感謝の気持ちがヒシヒシと伝わってきてしまい、胸がいっぱいになる。

「えっと……それじゃこれからも毎日、花を生けさせていただきますね!」

「……楽しみにしている」

ボソッと囁かれた言葉。それがなぜか私の胸をキュンとさせた。

うわぁ……なにこれ。どうして私、こんなに胸が苦しくなっちゃっているの?


自分の気持ちが信じられなくて、早くこの場を立ち去りたい一心で「失礼します!」と頭を下げ、足早に副社長室から退散しようとしたけれど……。

「痛っ!」

あまりにテンパりすぎていて、開けずに突進したためドアに顔をぶつけてしまった。

鼻を押さえ痛みと恥ずかしさに悶えていると、背後から聞こえてきたのは我慢できず噴き出した声。

「――え」

びっくりし振り返るものの、副社長は涼しい顔をしてパソコン画面と向き合っていた。
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