カクシゴト
良かった…



声に出しそうになって慌てて口を抑える。


でも、一瞬本当にびっくりしたな。


本当にいなくて良かった。


いたら多分ショックで泣きわめいてたかも。


「じゃあな!皆!」

「ほなさいなら!先生!」


気づいたら先生はいなくて、


あ、帰ったのか。


みたいな、よくわかんない気分になった。


「秋桜〜良かったじゃん、

彼女いなくて。」

「良かったよぉ〜!

いたら凄くショックだった…。」

「ほんまにね!

ラッキーやね〜!」


その後も茶化されながら買い物は続いた。


「これよぉない!?」


ニコニコしながら夕依が持ってきたのは


青と黒のブレスレット。


「お、それいいねー。」


確かにカッコイイ。


普段そういうのに何故か厳しい


ミサキも共感したらしい。


「せやろ!?

さっき店員さんが選んでくれてん!」

「でも凄いね。

ここって服屋さんじゃん?

ブレスレットとか売ってるんだね。」

「当たり前でしょ。秋桜。」

「ミサキはいつも口が強いんね」


まぁ何だかんだで夕依の買い物は終わった。


「よし、じゃあクレープでも食べに行こうか。」

「うん、あ、ちょっと待ってー」

ドンッ

「わっ」
「きゃっ」

突然目の前が真っ暗になった。


そして、何かにぶつかり体制が崩れる。



当然地面はコンクリートで、


頭を打つ覚悟をして目を閉じる


ドサ


不思議と、頭に刺激はなく、


目を開けると何処かの学校の制服を着た


男の人が目の前にいた。


私の頭の下にはその人の手があり、


押し倒されたような体制。


「ごめんっ!」

「あ、大丈夫です!」

「どこか怪我は…」


そう言いながら私達は体制を直し、立った。


「何処も痛くないし、平気ですっ。」

「服、汚れたよね。

本当ごめんね。」

「こちらこそ、すいません。」

「俺は大丈夫!」


「秋桜〜大丈夫かぁーっ!?」


「夕依、ありがと、大丈夫。」

「え、君もしかして松田秋桜?」

「え、あ、はいっ」

「そっかそっか。ほんとごめんね、

これさっき買ったのだからよかったら着てね。

それじゃ!」


そう言ってその人は何処かへ


走って行ってしまった。



何で私の名前を知ってるんだろう。


さっき買った服って…。


まぁ今着てるの汚れたから


有効活用させてもらうけど…。


「おい、大丈夫か?

なんださっきの人っ……」


取りあえず、


「嵐みたいなひとだった…」
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