カクシゴト

視線の先

「おはよ、ミサキ…」

朝、教室で会った時に手を振って挨拶をした。

「…」

無視された。


「今日は暑いね、もう夏なのかな…」

昼、トイレに行った時すり違ったから
話しかけた。

一瞬振り向かれたけど、無視された。


「雨とか天気予報に無かったのにね。
驚いたね、私傘忘れちゃったよ〜」

帰る時、下駄箱であったから
それとなく話しかけてみた。

「はぁ。」
と1度ため息をついた後、
ミサキはカバンから折りたたみ傘を出して
それを使って帰ってしまった。


「まただめ、か…。」

「もうやめとき、秋桜。」

「夕依…。」

「あいつはもう私らの事無視するつもりっちゃん、
変に話しかけるのは辞めんか。」

「うん…そうだね。」

「ところで、朝からずっとこっち見てたお前、出てきぃ。」

「えっ?」


「何だ、ばれたか〜」

夕依の声に反応して、
下駄箱の裏からひとがでてきた。

「あ、かずくん。」

「ばればれ。
秋桜はともかく、多分ミサキもきずいてたで。」

「ほんと〜?
バレてないと思ってたんだけどな〜」

「…どうしてここに?」

「ん〜。
何か暇だから見てた。」

…気味が悪い(笑)

「ふ〜ん。あ、秋桜、
さっき先生呼んでたで、行ってやり。」

「え、ほんと?!」

「多目的室でまっとるて言ってたばい。」

「分かった、ありがと!」

そう言って私は多目的室へと向かった。

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