だから、言ったんだ
.
「うわ、顔やべえぞ。お前」
「…うるさい」
翌朝、自宅の部屋のベットに寝ていた私は、
幼馴染の涼太に叩き起され目を覚ました。
お風呂も入らずにベットの上で泣き続け、
そのまま寝てしまったんだろう。
涙でドロドロの化粧はそのまま、
髪はギシギシだ。
おまけに泣き腫らした瞼が視界を覆う。
「最悪」
「だろうな」
昨日の事がよく思い出せない。
あの後、先輩とどう別れたか、
どう家まで帰ってきたか。
悲しかった事は、思い出さずとも覚えているのに。
はあーっと大きな溜め息を吐いた私に、
涼太は言った。
「…また振られたんか」
「…今日学校休む」
「答えになってねえぞブス」
酷な涼太の言葉に返事をせず睨んでいると、
ブスだな~、と笑いながら馬鹿にしてくる。
ほんとに、酷い奴だ。
「どうせ振られたんだろ?昨日家来なかったし」
「……」
「ワ◯ピース、昨日最新刊買って待ってたんだぞ」
「…………」
意地を張ったように黙りこくる。
そんな私に痺れを切らしたのか、
涼太はベットの隣にしゃがみこんで私の顔を覗き込んで言った。
「ほら、起きろ。風呂入ってスッキリしてこい。待っててやるから」
「………涼太は、学校行きなよ」
「お前が休むなら俺も休むわ。こうゆう時のお前は何しでかすか分かんねえから」
見張り役だ、と言って涼太は笑った。
正直、1人でいるのは辛かったりする。
何でも、どんなことでも聞いてくれる相手がいてくれるのは、気分的にも楽だ。
「……ありがと」
「ま、いつもの事だからな」
涼太は呆れ顔で笑った。
釣られて私も笑う。
涼太がいてくれて良かった。
毎回、
そう思う。