だから、言ったんだ




.





「うわ、顔やべえぞ。お前」

「…うるさい」


翌朝、自宅の部屋のベットに寝ていた私は、
幼馴染の涼太に叩き起され目を覚ました。

お風呂も入らずにベットの上で泣き続け、
そのまま寝てしまったんだろう。

涙でドロドロの化粧はそのまま、
髪はギシギシだ。

おまけに泣き腫らした瞼が視界を覆う。



「最悪」

「だろうな」



昨日の事がよく思い出せない。


あの後、先輩とどう別れたか、
どう家まで帰ってきたか。

悲しかった事は、思い出さずとも覚えているのに。



はあーっと大きな溜め息を吐いた私に、
涼太は言った。



「…また振られたんか」

「…今日学校休む」

「答えになってねえぞブス」



酷な涼太の言葉に返事をせず睨んでいると、
ブスだな~、と笑いながら馬鹿にしてくる。

ほんとに、酷い奴だ。



「どうせ振られたんだろ?昨日家来なかったし」

「……」

「ワ◯ピース、昨日最新刊買って待ってたんだぞ」

「…………」



意地を張ったように黙りこくる。

そんな私に痺れを切らしたのか、
涼太はベットの隣にしゃがみこんで私の顔を覗き込んで言った。


「ほら、起きろ。風呂入ってスッキリしてこい。待っててやるから」

「………涼太は、学校行きなよ」

「お前が休むなら俺も休むわ。こうゆう時のお前は何しでかすか分かんねえから」


見張り役だ、と言って涼太は笑った。


正直、1人でいるのは辛かったりする。

何でも、どんなことでも聞いてくれる相手がいてくれるのは、気分的にも楽だ。



「……ありがと」


「ま、いつもの事だからな」


涼太は呆れ顔で笑った。

釣られて私も笑う。



涼太がいてくれて良かった。
毎回、
そう思う。

< 2 / 4 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop