短編集(その他)
ある日、リビングから聞こえる変な音で目が覚めた。

音を頼りに野菜置き場をあさる私。

緑色のまっるい物体が、ニンジン置き場付近で動いていた。

「コタロー。」

ため息をついた。

お前は食まで私に似たのかと・・・。

ニンジン置き場の近くには、コタローの餌が散らばっていた。

「あぁ・・・蓋、閉め忘れてこぼれてたんだ・・・。」

コタローと餌を一つ摘み上げて水槽に入れた。

嬉しそうに餌にかぶりつくコタロー。

表情はないが、なんとなく嬉しそうだと思った。

コタローがどうやって水槽を抜け出したか、どうやって餌までの道のりを歩いたかなんて私には解からないけど・・・。

「コタローごめんね・・・。」

コタローの甲羅を少しなでてから、私は水槽に蓋をした。

「コタローごめんね・・・。」

そして私は水槽に鍵をかけた。








優しさが何なのか・・・。

私がしてることは何なのか・・・。








でも、私に優しさを与えてくれたコタローに、私は蓋をした・・・。








-end-
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