屋上のあいつ
ふとペンケースから、目盛の消えかかった定規をとりだした。まだかろうじて何センチか計ることはできるけれど、もう少し使い込めば、ただの直線を引くだけのものになってしまう。そう言えば、長らくこの定規で長さって、計ってないな。何となく、ペンケースの長さを計ってみる。二十一センチ。
温は大切に扱うことができなかったのかな。定規を見ていると、ふと温のことを思った。彼はものさしをどこかに忘れてしまって、周囲との距離を、関係を、うまく保てなかったのかもしれない。
だから、みんなはなれていった。智奈さん以外。だからと言って、温が悪かったと言えるだろうか。もしかしたら、扱わなかったのではなく、扱えなかった、もしくは扱ってもらえなかったのかもしれない。温からみんなへの、一方通行の思い。
恐ろしい。
思いが一方通行だなんて、考えたくもない。思って思われて、そして関係が出来上がっていく。ふと、赤間恵子の顔がうかんできた。あいつの想いは、ただの一方通行だったのか。そうではないと思う。俺は恵子のことを嫌ってはいない。ただ、想いの種類が双方で違っていただけで。でも一般的には、一方通行って言うんだろうな。
『もったいな』
『見てた?』
『おう、ばっちり。あの子結構かわいかったのに』
そうだな、温。俺は彼女の想いを捨てたんだ。もったいないことをしたと思う。
『温』
『何?』
『お前何で死んだの?』
『俺? 知りたい?』
『うん』
『何で?』
『野次馬根性』
『ハハ、素直だな片倉』
全校生徒が彼の死の野次馬になったというのに、俺まで加わるとは思ってもいなかっただろう。いや、その前に俺に出会うなんて、思ってなかったか。
『自殺だよ』
自殺?
ふと、浮かんできた温の言葉がひっかかる。自殺だと? 他殺じゃないのか? 尾野が、温ともみあって……いや、事故死だ。まさに、学校の不祥事。
何で自殺なんて、言ったんだろ。
胸がざわりとゆらいだ。そうだ、森田も勇も、自殺した生徒と言っていた。どこかで情報がずれている。まだだ。まだ何か分かっていない部分がある。
智奈さんに聞いてみよう。どんどん真相にせまってきているような、どんどん遠ざかるような妙な具合だった。
温は大切に扱うことができなかったのかな。定規を見ていると、ふと温のことを思った。彼はものさしをどこかに忘れてしまって、周囲との距離を、関係を、うまく保てなかったのかもしれない。
だから、みんなはなれていった。智奈さん以外。だからと言って、温が悪かったと言えるだろうか。もしかしたら、扱わなかったのではなく、扱えなかった、もしくは扱ってもらえなかったのかもしれない。温からみんなへの、一方通行の思い。
恐ろしい。
思いが一方通行だなんて、考えたくもない。思って思われて、そして関係が出来上がっていく。ふと、赤間恵子の顔がうかんできた。あいつの想いは、ただの一方通行だったのか。そうではないと思う。俺は恵子のことを嫌ってはいない。ただ、想いの種類が双方で違っていただけで。でも一般的には、一方通行って言うんだろうな。
『もったいな』
『見てた?』
『おう、ばっちり。あの子結構かわいかったのに』
そうだな、温。俺は彼女の想いを捨てたんだ。もったいないことをしたと思う。
『温』
『何?』
『お前何で死んだの?』
『俺? 知りたい?』
『うん』
『何で?』
『野次馬根性』
『ハハ、素直だな片倉』
全校生徒が彼の死の野次馬になったというのに、俺まで加わるとは思ってもいなかっただろう。いや、その前に俺に出会うなんて、思ってなかったか。
『自殺だよ』
自殺?
ふと、浮かんできた温の言葉がひっかかる。自殺だと? 他殺じゃないのか? 尾野が、温ともみあって……いや、事故死だ。まさに、学校の不祥事。
何で自殺なんて、言ったんだろ。
胸がざわりとゆらいだ。そうだ、森田も勇も、自殺した生徒と言っていた。どこかで情報がずれている。まだだ。まだ何か分かっていない部分がある。
智奈さんに聞いてみよう。どんどん真相にせまってきているような、どんどん遠ざかるような妙な具合だった。