今年の夏もキミを想う…。
動物好きだけど、家では飼えない彼女にしてみれば、唯一存分に戯れられる存在が若様だというのに、当の若様は牙こそ向かないものの、明らかに彼女を避けている節があった。
そのことを、彼女はいつも寂しがっていて、懐かれている宮崎の事を、とても羨ましがっていた。
「今度あいつが帰ってきた時は、せめて嘘でもしっぽ振ってやってくれよ、若様。あとできれば、お情けでひと撫でくらいさせてやって」
当然返事の返ってくるわけもない若様の体を、宮崎は丁寧に撫で回す。
若様は、まるで聞こえないふりを決め込んだかのように、目を閉じて体を撫でられる感触に浸っていた。
そうして一人と一匹が縁側の淵に腰掛けてくつろいでいるところに、お盆を持った和果子と、大皿を手にした祖母が一緒になって現れる。
大皿の上では、茹で上がったそうめんが一人分ずつ綺麗にくるりと丸まって、小盛りにされていた。
「はい、宮崎。わさびと生姜はお好みね」
お盆の上には、めんつゆが入ったお椀が二つと、箸が二人分、それにわさびと生姜のチューブが乗っている。