俺様ドクターに捕獲されました


「え? な、なんで?」


そんなことまで覚えてくれていたのかと感動しているのに、無理ってどうして?


どういうことだと、彼を振り返った私の額にキスをした彼がコツンと額をぶつけてくる。


「お前、わかってるのか? 入籍も済ませたんだ。今日は、俺とお前の初夜だぞ」

「あ……」


その意味を理解して、顔が赤くなる。お腹に回った彼の腕に力が入って、唇が耳に触れた。


「体温、上がったな。ずっと我慢してたんだ。嫌とは言わせない」

「い、嫌じゃないけど……。今までそういう雰囲気にならなかったから、優ちゃんは私じゃ、そんな気にならないのかと」

「バカ。逆だよ。お前じゃないとそんな気にならない。尊と結婚するまでは手を出さないって約束してたから我慢してたんだ。一緒に風呂に入ったときは、その気にならないように頭の中でオペの術式をひたすら唱えてた」

「う、うそ」


お兄ちゃん、そんなこと言ってたの?


たしか、付き合うのも高校卒業するまではダメって言ってたんだよね。過保護……というより、彼への嫌がらせなんだろうな。


でも、それを守ってくれた彼の気持ちがうれしい。それだけ私が好きだと思ってくれていたということだから。

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