俺様ドクターに捕獲されました
それで、明日は買い物行こうかな。夏物の服が欲しいし、サンダルも買いたい。そうしたらペディキュアもしたい。
職業柄、手にはできないから足のネイルにはこだわりたいのだ。今日は、お風呂に携帯を持ち込んでサロンを探そうか。
そんな楽しい計画をたてながら夕飯を作っていた私は、玄関の鍵が開く音に固まった。
空耳だと思いたかったが、廊下を歩いてくる足音にガックリする。なんで今日に限って、こんなに早く帰ってくるの?
そんな気持ちが顔に出ていたのか、リビングに入ってきた彼がキッチンにいる私を見て顔をしかめた。
「……お前、なんだその顔。すげぇ失礼だぞ」
「だ、だって、こんなに早く帰ってくるなんて思わなかったから。連絡くらいしてほしい」
「あー、そんなもんしてるくらいなら少しでも早く家に帰りたかった」
「いや、でも連絡はほしい……です」
私の心の準備のために、と心の中で付け足す。
それがどう彼の目に映ったのか、なんだか上機嫌になって私に近づいてきて後ろから抱きついてくる。
私を包む、彼からは、病院独特の消毒の匂いがする。それが、ひどく懐かしく思えた。