空高く、舞い上がれっ。
……遠くから声が聞こえてきた。

“──……だろ~?頑張れよなぁ?”
“おう、わかってるよ”

その声がわたしのいる教室の前を通り過ぎる間、わたしは机の下に隠れて……輝空の姿を追うけどちゃんと見ることが出来ない。
行かないで。と言いたいけどわたしには遠くて……

輝空……、そら、ソラ……
心の中で呼び続けるしかなかった。

輝空は今、何を考えているの?
学園祭、明日の野球の試合。
わたしのこと少しでも気にとめてくれていますか?
それとも、わたしじゃない別の誰かを思っているの?

顔にタオルを押し当てて声を殺した。

「歩舞‼」

ゼェゼェと息を切らせてわたしを呼んだ寧音。その後ろには、ダンスの衣装姿のままの尊がいる。
寧音はうなり続けるわたしを抱きしめた。

「歩舞、あたしたちはどこにもいかないから……」

外はこんなに晴れているのにわたしは荒雨の中、傘もささずに立っているようだ。
涙が……止まらない。
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