空高く、舞い上がれっ。
***

「歩ちゃんって、藤嶋君とつき合ってるの?」

バサバサッと本が落ちる。
静かな図書室。松葉杖の榎子の代わりに上側にある本を取ってあげている時、いきなりの質問に驚いて本を落としてしまった。

「ごっごめん‼」

「大丈夫だよ」

落とした本を榎子が手渡してくれる。

「で、どうなの?」

「つき合ってないよっ‼」

「ふーん、なぁーんだ」

予想外れで残念、と言いたげな顔で榎子が笑う。

「この前の昼休みに二人でいたから、てっきりつき合ってるのかと思ったよ」

「違うよー、ただの友達」

「そうなんだぁ」

じゃぁ、大変だね。

本を棚に戻そうとした手を止める。
榎子の方に振り向いて、なんで?と聞き返す。

「だって、ピカチャンって藤嶋君のことなんでしょ?莉華ちゃんにバレたらご機嫌ななめになりそうじゃない?」

きょとんとした榎子を前にわたしは平常心……でいたかった。けど、わたしは未熟者。

「……歩ちゃん?」

手が震えて声がのどに詰まって出ない。
どうしたの?と聞かれて、なんでもないよと答えることすらつらかった。この罪悪感と不安はなんだろう。
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